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自己申告書(#2)
部長ならできます(#3)
2004/4/7
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幸か不幸か、人事考課(#4)

 人事の方は新入社員の受け入れでお忙しいでしょう。
 そして、組織内でキャリア・カウンセリングをなさっている方は、これから「3」に追われるのではないでしょうか(人事の方も)?
 「3」におわれるって一体何? それは、最後にお伝えするとして、本題です。

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 ★ 「はい、わたくし部長ができます」 
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 カウンセラー「あなたの経歴書を拝見しました。前の会社では営業第三部長をなさっていらしたんですね」
 クライアント「はい、そうなんです」
 カウンセラー「それで、実際にはどんなことをなさってたんですか」
 クライアント「えっ、はい。課長2人を通して、営業マンを40名ほどマネジメントしていました」
 カウンセラー「で、具体的にはどんな・・」
 クライアント「ですから、営業の統括を・・」
 カウンセラー「あの、申し訳ありませんが、あなた自身は何ができるんですか?」
 クライアント「ですから、あの、部長ならできるんですけど・・」

 こんなやりとりが本当にあったのかどうか分かりませんが、何ができるのかと尋ねられて「部長ならできますと」と答える求職者・転職希望者がいる(いた?)という笑い話が、バブル崩壊の頃、流れていましたね。
 今も時々笑い話として出てくるんですが・・・。
 これって、本当に笑い話でしょうか?

 今回のお題は・・・
   「部長」です。


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 ★ 部長ができる? そりゃすごい!
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 今回は結論からお話しします。
 大企業ならばまだしも、中堅企業以下では、「部長」ができる人はそうはいません。
 本当に「部長」ができるなら引く手あまたです。
 「部長ならできます」−この言葉が本当なら、即採用です。
 コンサルティングにお伺いして、仕事が済んだ後の雑談をしていると経営者や人事を担当する取締役の方々が「うちは管理職が足りなくて」とぼやいていらっしゃるのをよく聞きます。

 そう問題は、その中身なんです。


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 ★ 部長の仕事って一体なに? 
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 実務担当者、つまりこの部長さんにしてみれば部下の方々というのは仕事の中身を具体的に話せます(具体的すぎて収拾がつかないということもあるのですが)。
 なぜかというと基本的に、上司の指示を受けてやっている仕事だからです。
 指示の内容が曖昧だと仕事を進めていくことができなくなってしまいますから、指示を出す方は分かるように具体的に出します。
 特に実務担当者であれば。
 新しい仕事をさせる時なんかは特にそうです。
 やり慣れた仕事なら、指示は曖昧でも、自分が実際に手を下しているものですから、完成したもの(成果物)もきわめて具体的に分かります。
 少し意地悪な言い方をするなら、「何をしていたか」を具体的いえるというのは、それほど対したことがないかもしれません(内容にもよりますけど)。

 ところが役職が上に上がればあがるほど、仕事の内容は曖昧になります。
 まず部長クラスともなれば指示を出すのは経営者ですから、そもそも具体的なことをいうはずがありません。
 そのくらい考えろ、部長なんだから! といわれるのがオチです。

 さらに部下を介して仕事をするようになりますから、自分が直接手を出した成果というものが少なくなってしまいます。
 これも、何ができると聞かれて答えにくくなる要因の一つのようです。

 もう一つ、企業は変化対応業といわれます。
 環境の変化に以下に素早く対応できるかがカギになります。
 部長クラスともなるとその変化を読み解いて、部下に指示を出すわけですから、同じような場面というのはそう出てきません。
 部長も変化対応業な訳です。
 変化に対応するのですから、パターンがあるわけではありません。
 「いろいろやってます」としか言いようがないかもしれません。

 そもそも部長の仕事というのはとらえどころがないのです。
 だから能力やスキルを証明する実績や逸話で語る方が、説得力があるのではないでしょうか?(ここら辺は、その道の専門家の方が詳しいかも)。


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 ★ 職務記述書って一体なに? 
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 自分の仕事を明確に言い表せない状況に拍車をかけているのが、「職務記述書」です。
 ご存じない?
 日本でもっとも導入例が多い「職能資格制度」を導入している会社なら必ずあるはずです。
 もし、ないとしたら、よほどの事情があったか、参考書をみながら自社で構築したか、役に立たないので燃やしてしまったか(-_-;)−のいずれかだと思います。
 (自分のいた会社は職能資格制度ではなかった! という方は、そういうところもあるんだ〜と思って読んでいただければ幸いです)

 職務記述書というのは、社内の職務ごとに作っているもので、職務の名前、その概要、責任の範囲などを記述しています。
 本来、これがきちんとしていれば、先の「営業第3部長」も何をする人だったのかをきちんと説明することができたでしょう。
 しかし、考えてみれば明らかなように、この職務記述書って、環境の変化などの外部要因、組織変更などの内部要因によって書き換えなければ、実態と乖離してしまうわけです。
 でも、多くの会社が書き換えたりしませんでした。
 なぜか? そりゃ大変だったから。
 それ以上に、書き換えなくっても何とかなる時代だったから・・・。
 ほとんどの会社が、今はお蔵入りではないでしょうか?

 結果として、部長をやっていた人は、何となく自分のやるべきことは分かっていてそれをやっているけれど、具体的に何をやっていたのと聞かれると困ってしまうことが少なくないわけです。
 実際、コンサルティングのためヒアリング調査をするときでも、部長クラスの方に「あなたはどんなことをなさっているんですか」と、故意に曖昧に聞くと、応えられなくなってしまう方が少なくありません。

 職務記述書をきちんと整えていればよかったんですけどね・・。

 ところで、職務記述書って、実は参考例が書店で売られています。
 結構なお値段なのですけど・・・。
 もし、「自分の仕事って何だろう? 何をすべきなんだろう」と迷ったりしたとき、あるいは自分の仕事を説明しようと思ったとき、他社の例ですけどこの職務記述書参考例が意外に役に立ちます。
 応募しようとしている仕事の職務記述書があれば、かなり有力な手がかりになりますね。

 カウンセリングをなさる方も、「私のクライアントの仕事ってどんな内容だったのかしら?」だとか、職務経歴書をまとめる支援をする際などには役に立つかもしれません。

 なぜかというと職務記述書は、その職務の仕事の内容をただ単に記述しているだけではなくて、「こんな目的の仕事であって」「求める成果はこうで」「こんな能力、スキル、職務経験が必要」って書いてありますから。


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 ★ 再び、部長って? 
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 ところで、役職位が高くなると、求められるのは、実務能力ではなくて、戦略を構築するなどの概念化能力と、人をとりまとめたり指導・育成したりする人的能力です。
 先の経営者、人事担当取締役もそうしたものを求めていらっしゃるようです。

 「部長ならできます」という話のもう一つの側面は、大企業で部長ができても、中堅企業ではできないケースを指しています。
 この場合は、能力とかスキルとかという以前に人間性に課題があるようですね。
 部下のいろいろな支援があって初めて仕事ができていることに気づかずに、全てが自分の成果だと思っている部長さんだと、新しい職場ではたちまち愛想を尽かされてしまうようです。
 自分では何もできない部長だと・・・。
 職務記述書には書いてないかもしれないけれど、中堅企業、中小企業の部長には、少ない人数でうまく回していくための気配り、心配りも必要です。
 こっちの部長の方が大企業の部長よりも難易度高いかも? と思うこともしばしばあるんですよ。


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 ★ おまけ「3」の節目
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 さて、冒頭に出てきた「3」についてです。
 「3」というのは、3日、3週間、3カ月、3年−という節目です。
 人事部にいたときに体験して、他の会社の人事の人に会うたびに話してみてかなり強い賛同を得ています。
 何の節目かというと、新入社員が入ってきてから、出社しなくなったり、退職の意思表明をする時期なのです。

 1日目は入社式でまずは出社するけど、入社手続きをしているウチに急に不安になってしまうのか、はたまた通勤電車の洗礼にあうのか早い人は「3日」後くらいに「ついていけない・・・」と漏らし始めます。
 「やはり、大学院に行こうと思うんです」と言ってきた人もいましたねぇ・・。
 「だったらはじめから入社するなぁ」と思った記憶が・・

 さて3日を超えて、3週間というと新入社員研修を終えて、そろそろ配属が決まったり、大手のメーカーだと工場や営業現場での新人研修が始まったりします。
 このとき、「あぁ、なんかこれって自分の考えていたのと違う」と思い始めるのか、ここで退職という人がそこそこいます。

 3カ月というと疲れもたまりはじめて、いわゆる五月病もピーク(?)です。早いところでは賞与が支給されるところもあります。
 新入社員には賞与を支給しないところもあれば、豪華に2年目以上の社員と同じ基準で支給するところもあります。
 ゴールデンウイークなどで同窓生にあって、「ウチの会社ってこんなのなんだよね〜」と話しているうちに、「あぁ、間違ったかもしれない」と不安を抱くのもあるようです。
 この3カ月目は本当に要注意です。天候も不順な時期なので、出社拒否になったりすることも少なくありません。

 そして3年。石の上にも3年といいますが、そろそろ最初に就いた業務にも慣れて「このままで良いのだろうか」と思い始めます。
 同窓生と集まると、給与も賞与もかなり差がついてきます。
 実際に3年たつと3分の1は最初に就職した会社を辞めているわけですけど・・・。

 さて、この「3」の節目−実は新入社員だけではありません。
 経験的にいうと、第2新卒やキャリア入社(中途入社ともいいますが)の方々にもいえそうです。

 


このメールマガジンは、キャリアスケープ・コンサルティングが発行しました。
キャリアスケープ・コンサルティングのホームページは     
 
ところで部長は数あるキャリア・アイランドの一つでしかありません。
キャリア・アイランドモデルに基づく人事制度(HRD/HRM)については こちら 

 

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